学術フロンティア講義「気候と社会」第12回目は、気候と社会連携研究機構人間システム応答研究部門長を務めている瀬川浩司教授(総合文化研究科広域科学専攻)が「グリーンテクノロジーの可能性と潜在能力」をテーマとして、再生可能エネルギーなどエネルギーをとりまく社会情勢を中心に解説しました。
講義の主な論点は以下の通りです。
- グリーンテクノロジーの定義について
- 日本と世界の温室効果ガス排出量について
- エネルギー安全保障の視点からの各種エネルギー資源の比較
- 再生可能エネルギー開発の歴史と現状
瀬川先生は、まず、グリーンテクノロジーの定義について、地球環境対策技術、省エネ技術、環境汚染物質の排出抑制技術、環境管理技術、廃棄物対策など非常に多岐にわたることを説明されました。その中で本講義では、再生可能エネルギー技術に焦点を絞ってお話しすると説明されました。温室効果ガスには二酸化炭素の他にメタンや一酸化二窒素、代替フロン等があることを示し、それらの排出量の推移や排出源の割合などについて、データをもとに解説されました。その上で、化石資源(石炭、石油、天然ガス)や原子力、再エネ(太陽光、風力、地熱など)といった各種エネルギー資源の特徴を具体的に説明し、特に太陽光のコストが近年急速に下がっていることなどで、従来の常識とされたことと現状の情勢にギャップが生じていることを示されました。世界的には再エネ化に積極的な企業がサプライチェーンを含めた脱炭素化を進めている中で、日本でも再エネの供給を増やさなければ、そこに生き残れないことを強調されました。現行エネルギー基本計画では総発電量が減ることを見込むなど脱炭素化の観点では問題もあるものの、送電網の整備などや、太陽光発電の技術開発が進められている状況を示して締め括られました。
<まとめ:中崎城太郎>