10月4日に学術フロンティア講義「気候と社会」が開講されました。本講義では、気候変動がもたらす社会への負の影響について、自然科学・社会科学・人文学といった分野横断的な視点から、各分野の第一人者である講師陣をお迎えし、オムニバス形式のトランスフォーマティブなサイエンス授業を展開していきます。
第1回目の講義は、気候と社会連携研究機構の機構長である沖大幹教授(本学総長特別参与・大学院工学系研究科)から「気候変動と相互作用環の学術を俯瞰する」をテーマに「気候と社会」を学ぶ重要性についてお話しいただきました。
講義の主な論点は以下の通りです。
- なぜ気候と社会を学ぶのか?
- どうして気候変動問題は解決しないのか?
- 気候変動をもたらすといわれる科学的要因
―水蒸気、CO2(氷期の推定・気温上昇)等 - 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による政策動向
- 化⽯エネルギー利⽤へのパリ協定合意、2050年正味ゼロ排出
- 世界人口推移との関連
- なぜ今、SDGs、ESG、グリーンファイナンスなのか?
- 統合評価によって気候変動の影響と社会変容との相互作用環を結び付ける重要性
沖教授から、自然変動に比べて急激な⼈為起源の気候変動が懸案されており、課題解決のカギは社会次第であること、将来予測に社会の影響を考慮して政策をとる必要性があることなどが講義されました。持続可能な開発の実現の推進は気候変動適用策として合理的な方策であり、社会における企業や個人の長期的な視点、開発と経済との相互関係、民間企業の公的貢献の増大といった対応が必要になってくる、という内容で締め括られました。