2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第13回
学際フロンティア講義「気候と社会」第13回目の講義は、気象学・気候科学がご専門の渡部雅浩教授(大気海洋研究所、気候と社会連携研究機構 副機構長)をお招きし、「気候と社会」総括~社会と個人の将来像を描く~をテーマに、本講義全体の総括と気候モデリングによる温暖化研究についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 温暖化の理論について 気候システムについて 全球気候モデル(GCM)とは 気候モデリング研究の発展 気候変動の将来予測と排出シナリオ 炭素予算:カーボンニュートラル 30年後の社会
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第12回
学際フロンティア講義「気候と社会」第12回目の講義は、気候政策学がご専門の杉山昌広准教授(未来ビジョン研究センター、大学院総合文化研究科(兼任))をお招きし、「持続可能性へのトランジションの視点から考える脱炭素社会」をテーマに、環境エネルギー政策の観点から見た「気候と社会の問題」についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 脱炭素社会への移行 トランジション研究の流れ・特徴 政策ミックスの重要性―整合性と国際的な視点 緩和策の例(経済的手法、規制的手法、その他)と太陽光の事例
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第11回
学際フロンティア講義「気候と社会」第11回目の講義は、環境経済学、経済政策がご専門の成田大樹教授(大学院総合文化研究科・教養学部)をお招きし、「気候変動影響の経済評価」をテーマに、経済学の観点から見た「気候と社会の問題」についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 学術的問題としての「気候と社会」の歴史:モンテスキュー「法の精神」 経済学における、気候と社会制度(そして所得水準)に関する議論:気候と所得水準 気候変動影響の経済評価:気候変動の多種多様な人間への影響をどのように定量化するか 長期的な気候変動の影響を経済評価するための指標:正味現在価値(NPV) 気候変動がもたらす経済的便益の例:北極海航路(NSR) IPCC評価報告書(AR6,2022)、気候変動下における主要作物の将来の収量変化 気候変動影響のリスク・不確実性の捉え方 セクター毎(農業、インフラ整備等)のインパクトを経済評価するためのアプローチ―プロセスモデルアプローチ、統計的アプローチ 二酸化炭素の社会的費用(SC-CO2)定量化の試み 気候に連動したティッピングリスク パリ協定と気候変動に関する途上国支援 気候変動適応問題と定量評価:気候変動への緩和と適応 事例研究:ムエア灌漑開発事業(Mwea Irrigation Development Project)の気候変動適応効果の評価
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第10回
学際フロンティア講義「気候と社会」第10回目の講義は、国際開発協力や環境政治が専門の佐藤仁教授(東洋文化研究所新世代アジア研究部門、新領域創成科学研究科国際協力学専攻 協力講座(兼任))をお招きし、「気候正義」をテーマに、発展途上国の環境問題に関する開発援助と資源政策についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 開発(援助)⇒資源⇒国家権力⇒中間集団 森林保護と森林住民の排除 森林消失の原因 「コミュニティ林」の実態 COP19 気候変動による損失と損害(Loss and damage) ラオスの事例 ―ラオス奥地の村での「地球環境教育」 ―ラオスの「開発する権利」と実態は? ―土地利用の規制、国家による自然支配の帰結 マレーシアの事例 ―複数の正義は対話可能か? ―10歳のイギリス少年の抗議文 環境正義とは? 不正義を隠す3つのオブラート: 「援助」、「コミュニティ」、「自然保護」 カンボジアの事例 ―漁区の開放政策とコミュニティへの委譲
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第9回
学際フロンティア講義「気候と社会」第9回目の講義は、生態学者である吉田丈人准教授(本学大学院総合文化研究科・総合地球環境学研究所(兼務))をお招きし、「気候変動時代の災害を考える」をテーマに、生態系を活用した防災減災の事例と適応策についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 極端な気象がもたらす災害 災害リスクの要素 現在進行中の気候変動 自然がもたらす多くの恵み 自然を活用した地域づくり 地域の自然と文化・歴史 いまなぜ「生態系を活用した防災減災」(Eco-DRR)か? 生態系・生物多様性の現状、自然資本の現状 福井県三方五湖の災いと恵み 滋賀県比良山麓の災いと恵み 自然の恵みと災いからとらえる土地利用の重要性
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第8回
学際フロンティア講義「気候と社会」第8回目の講義は、環境生態学の第一人者である森章教授(本学先端科学技術研究センター)をお招きし、「生物多様性と気候変動の課題」をテーマに、生物多様性と気候変動との関連についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 気候変動の危機×生物多様性の危機 UNFCCC COP27,CBD COP15での最新動向 第6の大量絶滅の時代 生物多様性と人間の福利(栄養、食料、心身の健康等) 生物多様性の役割(炭素回収・貯蔵、大規模植林、森林再生、生態系再生等) 自然と人との新たな関係(Nature-based Solutions) 気候変動緩和と生物多様性の保全 気候解決策としての生物多様性
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第7回
学際フロンティア講義「気候と社会」第7回目の講義は、海洋生態学を専門とする岩田容子准教授(本学大気海洋研究所)をお招きし、「気候変動が海洋⽣態系に与える影響」をテーマに、気候変動と海洋生物との関係についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 私たちの暮らしと海 今、海で生じている変化 温暖化による生物分布・フェノロジーへの影響 気候変動が海洋生物・プランクトンに影響する例 低次のMatch-Mismatchが⾼次捕⾷者に影響する例 南極・北極の温暖化が海洋生物に影響する例 海の貧酸素化が海洋生物の行動に影響する例 生物進化の可能性
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第6回
学際フロンティア講義「気候と社会」第6回目の講義は、海洋システムモデリング研究の第一人者である羽角博康教授(本学大気海洋研究所)をお招きし、「気候と海洋~人間活動による海洋の大規模変化」をテーマに、温暖化に伴う海洋大循環の変化に加え、炭素以外の元素も含む地球規模のサイクルに人間活動が与えている影響についてお話しいただきました 講義の主な論点は以下の通りです。 地球システムにおける海洋の位置づけ 海洋大循環のしくみ 海洋大循環の気候への影響 地球システム内での炭素循環における海洋のはたらき 海の炭素循環の生態系への影響 気候温暖化による海洋環境の大規模な変化 生物を構成する主要な元素の地球規模のサイクルに対する人間の干渉
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第5回
学際フロンティア講義「気候と社会」第5回目の講義は、古気候学の第一人者である横山祐典教授(本学大気海洋研究所、大学院理学系研究科、大学院総合文化研究科)をお招きし、「炭素循環から捉える気候変動」をテーマに、氷期―間氷期のサイクルと地球温暖化における炭素循環についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 地球史スケールと“人新世”の炭素循環と気候の俯瞰の重要性 大気二酸化炭素と地球の気温 気候とフィードバック(アルベド・温室効果ガス等) 表層環境復元研究 繰り返す大規模気候変動―氷期・間氷期 大気と海洋間での炭素循環 海洋の循環による14Cの海域差 気候変動と社会 ―炭素循環とネガティブエミッション、気候変動と社会 気候変動と安全保障
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第4回
学際フロンティア講義「気候と社会」第4回目の講義は、同位体気象学の第一人者である芳村圭教授(本学生産技術研究所グローバル水文予測センター、宇宙航空開発研究機構地球観測研究センター・センター長)をお招きし、「気候と社会をつなぐ物質:水」をテーマに、気候変動に関する陸域水循環モデルについてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 水循環・陸域モデリング研究を通じた地球システムモデル開発によるIPCC AR6 WGⅡへの貢献 統合陸域シミュレータ(ILS)開発 陸面モデルMATSIRO、河川モデルCaMa-Flood 気候変化による世界的な自然災害への影響(豪雨、洪水、干ばつ、山火事等) 国内外の気象災害の事例 日本の洪水予報の法規制の動向 水文学的干ばつ 温度や雨量の指標に水同位体を用いて水循環を追跡する 温室効果ガスと同位体比 気温上昇と降水量の経年変化について
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第3回
学際フロンティア講義「気候と社会」第3回目の講義は、気候力学の第一人者である小坂優准教授(東京大学先端科学技術研究センターグローバル気候力学分野)をお招きし、「気候の人為起源変動と自然変動」をテーマに、気候システムのメカニズムについてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 主に19世紀後半からの全球平均地表面気温の上昇とその要因 気候変動の要因 気候システムの外的強制力(エアロゾル、オゾン、温室効果ガス等)と内部変動(エルニーニョ・ラニーニャ現象、偏西風の蛇行現象等) 人間の気候変動への影響に関する「検出」と「要因特定」 世界平均表面気温の上昇とその要因 多様な指標からみた気候の変化と人為的影響 地域規模の気候変動とその要因 ―サヘル、南米南部の事例 今世紀初めの地球温暖化の「停滞」と内部変動の役割
2022年度Aセメスター学術フロンティア講義「気候と社会」第2回
学際フロンティア講義「気候と社会」第2回目の講義は、気候科学の第一人者である江守正多教授(本学未来ビジョン研究センター教授、総合文化研究科広域科学専攻客員教授、国立環境研究所上級主席研究員)をお招きし、「気候変動問題の論争をどう見るか」をテーマに「地球温暖化の論争」をめぐる諸説・議論についてお話しいただきました。 講義の主な論点は以下の通りです。 地球温暖化の原因が人間活動によるCO2であることの論拠 インターネットで広まっている温暖化の諸説の懐疑論とその実態 ―太陽活動の影響?気温とCO2の時系列データで見る因果関係?氷期からの回復?等 気候危機は存在しない? ―気温1℃上昇をどうみるか? 台風・大雨増加傾向? ホッキョクグマは増えてる? IPCC等のデータの確かさ 気候変動対策には意味がない? 一部の国だけ対策しても不十分か?日米中の対応は? 信頼できる情報を見極めるリテラシー チェリー・ピッキングの議論を見極めるには?